素直に好きだといえば人生が豊かになる
先日、会社の代表メールアドレス、つまりinfo@uei.co.jp宛にファンレター(?)をいただきました。
「なんだかよくわからないけど、書いてある内容に共感しました。この気持ちをどこにぶつけてよいかわからず、とりあえずメールします。すみません」
みたいな衝撃的な出だしで、驚いた業務部から「この方、どうされますか?」と言われて、
「面白そうな人だから会ってみよう」
ということで先日、わざわざ弊社までお越しいただいて面談が実現しました。
その方は、某メーカーで携帯端末の商品企画を担当されている方でした。
そこでいろいろな話をしたのですが、非常に面白い方で、僕も大いに楽しみました。もう数時間くらいは話し込んでいましたね。
そのとき、その方に聞かれたのがこんなことでした。
「清水さんの日記には凄い人たちが沢山出てきますが、どうやってそんな魅力的な人たちと知り合うのですか?」
確かに、僕は周りに恵まれています。
恵まれすぎてると言っても良いでしょう。
サルガッソーの鈴木健さん、コミュニティエンジンの中嶋謙互さん、アプレッソの小野さん、あたりの未踏関係の人々は、もともとグルコースの安達君に紹介してもらいました。
グルコースの安達君と知り合ったのは、彼がまだ中学生の頃で、ドワンゴに来てサーバ開発のバイトをしていた頃です。
ドワンゴに行った理由は、マイクロソフトの森さん(当時)に紹介されたからで、その森さんと出会った直接の原因は、僕がWebページを持っていたからです。
96年頃だったと思いますが、僕はDirectXについて書いたWebページをせっせと作っていました。
それを見たDirectXのエヴァンジェリストである森さんが、コンタクトを取ってきたのです。
それが全ての始まりでした。
そのとき、同時にDirectXについて本を書かないか、というオファもありました。ゲームの専門学校で講師をしないかというオファもありました。
全て同時期に、全く別々の人たちからそういうオファをいただいたのです。
僕の現在の人脈の基礎はそのときできたと言えます。
他にも沢山のDirectXプログラマからメールをもらいました。
また逆に、僕は面白いプログラムを書いている人にどんどんメールを書きました。
情報を発信して、受信するという基本行動原理にのっとって、そういうさまざまなプログラマを集めて「3D野郎大会」というイベントを開きました。
そのとき、NekoFlightという面白いソフトを作っている金子勇さんという方がいて、この人にもメールを書きました。
すると金子さんは
「清水さんのDirectXの本、僕も読んでいますよ」
と言って喜んで参加してくださいました。この金子さんは、後にいろいろな意味で社会現象を起こすWinnyを開発しました。
そのイベントにやってきた、CESAの緒方さんという方が、「これはぜひCESAで本格的にやるべきだ」と根回しをしてくれました。
そしてCEDECというイベントが生まれました。
CEDECの立ち上げを企画した緒方さんは後に僕と二人で会社を立ち上げ、今の会社が出来ました。CEDECという名称そのものを考え、企画を立ち上げたフームの福井さんは、僕らが会社を作るときにオフィスを無償で提供してくださったり、そもそもの株主になって下さったりしました。
CEDECの第一回を立ち上げるとき、「3Dプログラミングをきちんと学術的に説明できる人にぜひ講演をお願いしたい」という話が持ち上がりました。
僕はそのときたまたま読んでいた本を取り出して言いました。
「この本がとっても解りやすく、しかも深いところまで書かれているんです。この本の著者の方にぜひお願いしましょう」
そのとき僕は、その本がどんな人によって書かれたのかまるで知りませんでした。
ただそれが面白いと思っただけなのです。
しかし、よくよく見ればその本を書いたのは、コンピュータグラフィックスの世界では大御所中の大御所で、ディスプレイが発明される以前からコンピュータグラフィックスの研究をはじめ、SIGGRAPHでの論文発表数はブッチぎりで日本一、日本SGIの技術顧問にして、人類で14人しかいないSteven A. Coons賞の受賞者で、当時は東京大学に赴任してきたばかりの西田友是教授でした。
そして驚くべきことに、西田教授はおそろしく気さくで気の善い方で、まだ立ち上がってさえいないイベントで講師となることを快諾してくださいました。
西田先生は今や弊社の技術顧問として、時折面白いお話を聞かせてくれたり、最新の技術動向について教えてくれたりしています。
他にもいろんなことがありましたが、それは全て素晴らしい出会いの産物でした。
重要なのは、自分の考えを人に伝え、発信すること、それによって傷つくことや窮地に陥ることも少なくありませんが、それを恐れないこと。
もっと簡単に言えば、「好きなものを好き」とハッキリ言うこと。これってもしかすると、けっこう恥ずかしくてみんな言えないのかも知れませんが、僕はすぐに言ってしまいます。
「僕は3Dが好きです」
「僕はDirectXが好きです」
「僕はNekoFlightが好きです」
「僕は西田先生の本が好きです」
もちろん全く相手にされなかったりするリスクはあります。
僕もそういう経緯でお会いした人と、会ったその場で喧嘩することもあります。
普通に考えて、告白は怖いことです。
自分の本心をさらけ出すことで、相手の本心を見ることです。
それでも傷つくことを恐れていては前には進めないのです。
そうした困難を乗り越えてなお、お互いに解りあえるならば、それはとても素晴らしい仲間になるでしょう。
とにかくまず、行動すること。
「好きだ」と相手に直接言うこと。
仮にそれが男女関係だったら、もっと十分躊躇して良いと思うのです。どんな場合も、愛の告白にはとてつもない壁があります。
でも、愛の告白と、好きの告白は違います。
もっと簡単に言えば、「あなたが好きだ」というよりも「あなたの考えが好きだ」と言う方がハードルが低いわけで、人間、誰しも複数の「好きな考え」があるわけですから、「あなたの考えが好きです」と告白することは恥ずかしいことでもリスクのあることでもなんでもないのです。
逆に自分を好きになってもらうためには、自分の考えを文章なりプログラムなり絵なりにして、表現することです。
その表現を出来るだけ沢山、できるだけ多くの人に見てもらうことです。
だから僕は目立ちたがりです。でも僕自身が目立つ必要はないんです。僕の表現が目立てばそれで良いのです。
そうすれば誰かが気に入ってくれるかもしれません。
これはたぶんプログラミングとか、そういう分野に限定した話でもないと思います。
まずなにか自分の考えを表現して、多くの人に見てもらうこと、それができなければ好きだと相手に伝えること。
たったこれだけで、人生がとても豊かになります。
とはいえ、最近の僕は「好きの告白」をサボり気味ではあるわけですよ。
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